(HV)ウォッチメン
今日のWOWOWはヒーロー哲学
「ウォッチメン」(初見)
2009年 2:43 HV・AAC(WOWOW)
この映画を分かりやすくまとめる事が大変難しい。。。
それこそマトモに書いてしまったら、小論文並みの文章量になってしまうだろう。
なのでなるべく短く、簡潔に。
あらすじは、、、、法改正によりヒーロー達が路頭に迷う話w
よって弱者を助け、悪を挫くような単純明快なアクション物ではない。
そもそも助けて欲しいのはヒーロー側の人間なのだからw
まずアメリカとソ連の冷戦やベトナム戦争の
歴史的背景、社会情勢を知っていないと話しに全くついてゆけない。
またヒーローと言っても普通の人間。(一部違いますがw)
酒やタバコを吸い、男女関係のもつれ、行き過ぎた暴力もしてしまう。
ネアカヒーローでは到底見せない、見たくない部分。
そんなドロドロとした物を見せ付けられる。
ぶっちゃけ、マスクを被った自称ヒーローなだけなのだw
見方を変えれば愛国精神たっぷりの右翼集団とも取れなくも無いw
例えば、一人と百人の命、助けられるのは一方だけ。
ヒーロー物によくある両手天秤シチュエーションがあったとする。
普通のネアカヒーローものなら、”どうにしかして”両方助けてしまうだろう。
もしかするとダークナイトあたりなら、
一人を犠牲にし百人を助け、後に自責の念にかられるかもしれない。
(もちろんバットマンは不殺なのですが、あくまで世界観としてみれば)
ではウォッチメンならばというと、
両方助けようとして、結果、どちらも助けられなかった。
そんな奇麗事が通用しない世界観なのだ。
要は、現実では都合良くいかない事を理解しながらも、
ご都合主義展開を楽しむのが本来、子供たちが喜んでみるネアカヒーロー物。
でもウォッチメンでは、その都合よくいかない現実世界にヒーローがいたら?
っという感じなのだ。
2時間43分もある尺はさすがに長く、
その半分くらいはヒーロー達の回想シーンばかり。
その分、現実での時間は殆ど流れないので、時間軸がバラバラでも混乱する事は少ない。
アクションシークエンスはビックリするほど少ない。
確かに「300<スリーハンドレット>」を髣髴とさせる、
ストップ&スローモーションは、流れる水のような円舞そのもの。
多大な時間をセリフで埋め尽くされている中、
僅かに挟まれるアクションシーンは見惚けてしまう。
画質はクセは強いも、良好。
冒頭からカリカリの精細感、情報量のある映像に目を奪われる。
独特の色クセがあり、青緑色が強く、発色も異様に濃い。
鮮やかさとは無縁で、どちらかと言うと沈み気味で暗い、暗すぎる。
とにかく全体を通して加工された色調。
ただ、暗部の情報が恐ろしい程に濃密。
暗い画面の中にもディティールを感じとれるので、
決して暗く見辛いなんて事は思わない。
もしこれに透明度が加わればヤヴかっただろう。
BDではもしかするとそれがあるのかもしれない。
フィルムグレインの粒子感はしっかりと感じられるが、
決してでしゃばらず、むしろディティールの一部にすらなっている。
全体的にはややバラつきが目立つし、クセのある映像だが、
かなり高画質の部類に属するのではなかろうか。
音質は正直、大した事無い。
アクションシーンが少ない事もあるのだろうが、
派手さは殆ど無く、どちらかと言うと丁寧な音作りだろう。
ただこれがAACだと精細感に欠けるので、
繊細な効果音などはえらく薄っぺらに聞こえてしまう。
これがロスレスならまた違って聞こえてきたのかもしれない。
試しに低域信号をSWへ通してみたが、あまり変わらず。
どうやら高音域がネックになっているようだ。
とは言っても大きな不満があるわけではなく、
ただ映像に合わせた、もう少し濃密な音響を期待していただけ。
サラウンド感は上々。
激しいアクションシーンは殆ど無く、
分かり易い移動音や効果音がサラウンドされる事も少ないものの、
何故かサラウンド感は良く感じられた。
多分一つ一つの効果音や環境音を丁寧にサラウンドしているのだろう。
音場も広く、心地よい包囲感が味わえる。
あのダークナイト以上にヒーロー像を根底から覆すような物語。
どこかで誰かが言っていたが、まさに哲学。
2時間43分もの時間に頭をフル回転させ、理解し、考えさせられる。
難解で地味で濃密なウォッチメン。
時間もさることながら、見終えた後の疲労感はかなりのもの。
これを人によっては充実感、満足感に変わる事もあるだろう。
単純明快なアメコミヒーロー好きはもちろん、
ある程度、政治・歴史的教養が無い人には向かないし、
まず2時間43分も哲学を語られる事に我慢出来る人じゃないと無理だろうw
個人的にはダークナイトが好きならば、一度見てみる価値はあるかも。

2010.05.08 | Comments(0) | Trackback(0) | 映画 あ
