(BD)言の葉の庭
本日のBlu-rayはいつもの”新海誠節”復活だが、秒速より弱し
「言の葉の庭」(初見)
2013年 0:45 30~38Mb/s(AVC) 6.91Mbps(リニアPCM 5.1ch)
叙情的な映像作とほろ苦く切ない物語をウリにする新海誠。
前作「星を追う子ども」でジブリの真似事をしてしまい本来の持ち味を活かせずにいたが、
本作は新海誠節復活。
やはり彼はこの路線を突き進んでいって欲しいと改めて思った。
内容は靴職人を目指す高校生・タカオは、雨の朝は学校をさぼり、
日本庭園で靴のスケッチを描いている。
そこで出会った、謎めいた年上の女性・ユキノ。
やがて二人は約束もないまま雨の日だけの逢瀬を重ねるようになり、
心を通わせていくが、梅雨は明けようとしていた…。
新海誠と言ったら心情を距離(速度)で表現する事が得意としたが、
本作では雨という新たな表現でみせてくれる。
なので45分という短編映画の中で人物像ややり取りはそこそこに、
劇中に様々な表情を魅せる雨粒に、
ただただその繊細な美しさに目を奪われる。
物語はいつもの彼らしい内向的でほろ苦さを醸し出した内容。
やや駆け足気味な部分もあるが、
大江千里のカバー曲「Rain」の劇伴に合わせたラストの盛り上がりは、
つい(演出から)貰い涙しそうになる。
ただ盛り上がり的には「秒速~」よりも弱いかも。
画質は最高。
デジタル製作なのでHD映えするのは当然。
前作とはまた違った繊細で透明感溢れる映像美で、
実写よりもずっと綺麗に見える。
カラーバンディングも殆ど気にならず、
また雨の一粒一粒までクリアに表現されており言う事なし。
ジブリやエヴァ、細田守など映像が素晴らしい作品群は多くあるが、
本作ほど透明感を感じる映像は他に無いだろう。
当然、過去作の中でも一番綺麗。
音質も最高。
映像同様に多用な雨の表現に加え、
雨を流す風や地面に落ち反響する雨音など音響も繊細。
リニアPCMという事もあり、どこまでもクリアで底無しの広がりを見せる。
包囲感は一見薄いようにも感じるが、
遠くに響く雷鳴が聞こえた瞬間にリアルで本物かと勘違いして焦ってしまったw
(以前、雷でAV機器をやられた事があったので)
部屋の壁を突き抜けて聴こえる距離感はリニアPCMならではなのだろう。
緻密で美しい映像美と内向的でほろ苦い作風が特徴の新海誠。
45分の短編ながら彼の持ち味を全面に出した本作は、
どこを切り取っても新海誠の味がするだろう。
「秒速~」ほどではないが、新海誠ファンならお勧め。
劇場アニメ作品ではあるものの、
”いつもの”美しい映像作品ですので、
物語性うんぬんを語りたい人はお帰り下さい。